第33回 俳人協会新人賞受賞
◆精鋭俳句叢書
朝日から鳥の出てくる寒さかな
「家」という安住の場を常に開拓した句集、それが『家』であるが故に、私はこの一集に意義を感じ、心より喜んでいるのです。
(序より:児玉輝代)
◆自選15句より
春の山好きなところに並べ置く
薄氷のつめたき水に囲まるる
卒業の涙を笑ひ合ひにけり
こぼすもの多くて鳥の巣は光
菜の花の前を次々明るい水
忘れてもいいことばかり春の禽
夏祭つまらぬものを買ひにけり
巻きついて昼顔の咲く別の草
夕暮のさういふ色の石榴なり
とまりたきもの見つからぬ赤とんぼ
*
[かとうかなぶん(1961〜)「家」編集発行人]
序:児玉輝代
栞:片山由美子
四六判並製カバー装小口折グラシン巻き
装丁:君嶋真理子
172頁
09.08.08刊行