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◆第二句集
やどかり歩く太陽も歩き出す
蚊を殺す大阪湾に日が沈む
下萌えをとび跳ねおしりかじり虫
半島はよこたわる裸婦春霞
大阪湾で蚊が殺されたり(大阪湾殺蚊事件!)、おしりかじり虫が芽生えの大地を跳ねまわる。この現代的で楽しく、少し意外でもある575の言葉の風景。
これがまさに今日の俳句である。
(帯より・坪内稔典)
◆自選10句
やどかり歩く太陽も歩き出す
龍天に昇るコショウぱっと振る
だぶだぶの一日だったほうれん草
蚊を殺す大阪湾に日が沈む
真夜中のコンビニに浮く海月かな
楠は水たまりのように晩夏
バッタ飛ぶコインランドリーまで2分
夢殿へ集団で行く烏瓜
店頭にブラジャー岸辺にゆりかもめ
シリウスのそこは私の落下点
*
[こえだ・えみこ(1953〜)「船団の会」所属]
帯・坪内稔典
装丁・君嶋真理子
四六判変形上製カバー装
158頁
2009.06.11刊行