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◆現代俳句文庫待望のシリーズ最新作
巨き鉤の影うごきおり霧の中
を、加藤楸邨や村野四郎の作品と比べつつ寸評した。其角が『猿蓑』の序に記した「恐るべき幻術」、虚のうちにこそある実の、リアリズムを超えた自在な表現意志を、わたしは右の句に感じ、霧の中に動いているのは「クレーン車の〈鉤〉などではなく、物狂おしい批評精神・社会意識のとらえた、ある危機」、現代社会のぶきみなメカニズムへの恐怖ではないか、と記した。
(解説より・嶋岡晨)
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[なかむらかずひろ(1942〜)「陸」主宰]
解説・嶋岡晨
四六判ペーパーバックスタイル
104頁
2009.06.11