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◆第一句集
その句に接していると、懐かしい生家の団欒の中にいるような心持ちになる。山田壽美子さんの作品は、いつもそういう温かな和みを与えてくれる。
人々の親愛な心の和が薄らぐ今日、こうしたまどかな心持ちへと誘う作品は、こよなく慕わしいと思う。
このひとを俳句に導いた飴山實さんも、長谷川櫂さんも、そう思われるにちがいない。
(帯より・友岡子郷)
◆友岡子郷抜粋
よき報せありて柚子湯をあふれしむ
銀河濃しあしたは帰る子と母に
虫干の母のにほひを畳みけり
見送りはいつもここまで月の坂
月鉾にのぼりて月に近づきぬ
ふるさとの言葉になりて踊りけり
たかだかと抱き上げられて春着の子
ちちははの世がすぐそこに梅真白
声かけて灯をともしけり雛の間
嫁がせし日も山茶花のこぼれゐし
*
[やまだ・すみこ(1931〜)「古志」所属]
帯・友岡子郷
装丁・奥川はるみ
四六判上製カバー装
202頁
2009.05.24刊行