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◆第六句集
この句集は病める人の心と共にある祈りの句集である。
長らく闘病中の著者の第六句集。
平成十四年から二十年までの三八八句を収録。
宮脇白夜の作品は、情景を即物的に捉えるだけではなく
詠われたものすべてに内面の光をやどす。
それは、恩寵のある眼差しへとむけられたものであり、
慈悲のひかりへと感応する。
◆自選10句
花明り眠る浮浪者靴揃へ
万骨の枯るる音あり草田男忌
救世主躓き躓き来る春野
日向ぼこ壁にも笑窪あるごとし
鉄線花母は掌合せ長寿詫ぶ
身二つに裂かれし痛み柘榴の実
配膳車轟き来る廊春隣
鎌倉に蚯蚓あまたの哭く夜あり
焼き藷売笛鳴らし来る海沿ひに
笑みかけて止めし秘仏や養花天
*
[みやわき・はくや(1925〜)「方舟」主宰]
写真・鬼海弘雄
装丁・間村俊一
菊判正寸上製カバー装
234頁
2009.06.11刊行