第33回 俳人協会新人賞受賞
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◆精鋭俳句叢書
花の向き迷ひなかりし梅白し
彼の内なる美学は物の存在を絶対視して凝視することから沸き出てくるものだ。写生を徹底して押し進めるとき生れてくる。
(序より・斎藤夏風)
冬晴にただすこし湧く泪かな
金原さんの手にかかると、涙の背景にあるものは一切消え、涙はただ涙というものとしてそこにある。
(栞より・岸本尚毅)
◆自選15句より
白椿いつか日向に落ちてゐし
銀閣へゆかずに曲り春惜む
垂れゆくを止むるちから花菖蒲
羽のあと胴が横切り鬼やんま
雪片を見入ればおそく雪早し
根方まで一本の鶏頭であり
鎌倉に線路はなじみ花芒
羽たたみいま空にあり石たたき
割るるとき追ひつく重み寒卵
花の向き迷ひなかりし梅白し
*
[きんばら・とものり(1962〜)「屋根」同人]
序・斎藤夏風/栞・岸本尚毅
装丁・君嶋真理子
四六判並製カバー装小口折グラシン巻き
192頁
2009.06.11刊行