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◆第一句集
どの句も、季題が働いて、読む人の心に無理なく伝わり余韻が広がる。それは、あるがままという、まぎれもない花鳥諷詠の俳句である。
深見けん二(序より)
◆自選10句
雨戸繰る山頂にいま初明り
山の家の汝も眷属春の蠅
つい覗くきのふ見つけし小鳥の巣
飾り終へ妻しばらくは雛の前
ともかくも病後五年の夕涼み
わが生にさざ波幾度西瓜食ふ
じが蜂のやたらせはしき秋隣
大雨の落してゆきし栗の艶
赤き実がはじけて山の小春かな
夜祭にやがて沸く街落葉焚く
[いわた・さとし(1928〜)俳誌「橘」「花鳥来」所属]
序・深見けん二
装丁・君嶋真里子
四六判並製カバー装グラシン巻き
226頁
2009.06.01刊行