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帯・鷹羽狩行
美しきもののみ見せて花篝
夜桜を美しく照らし出す「花篝」の本質に迫っている。
雲いつもどこかを隠しお花畑
高山植物の咲き乱れる高嶺がその全貌を見せることはない神秘。
荻原正三氏は、季語を通して、人間の内面の実感を力強く展開させて見事である。
(鷹羽狩行・帯より)
●鷹羽狩行選
焼印の数がものいふ登山杖
おしろいの花の匂へば家近し
寝袋の中からといふ初電話
柿の花疎遠にならぬほどの仲
美しきもののみ見せて花篝
雲いつもどこかを隠しお花畑
ぼうふらの足掻けばあがくほど沈み(ぼうふらは漢字表記です)
転がらぬやうに立てかけ登山杖
売れ残り同士もたれて茄子の苗
これがあの天の川かと穂高岳