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帯・神蔵 器
悠さんは何ごとも人にたよらず、自分の壁は自分で突き破ってゆくタイプ、自分の中に太い芯を持っている。俳句は本格的句風。時に思いきった冒険もするが逸脱することはなく、言葉の使い方は平易で、しかも正しい。
(帯・神蔵 器)
●自選十句
海へ雪降らして餅を切りにけり
ひと粒の胡麻を噛みをり涅槃西風
立ち上る波の見えゐて雛の間
子を抱いてとろろあふひの夕べかな
斑鳩のしほからとんぼいととんぼ
老い先を母に見てをり草の花
俎板の海鼠の向きにこだはりぬ
初東風に乗りたる鷹の羽音あり
花ひひらぎ鯉の全長日当つて
筆硯を机上に花の寒さあり