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序・岡野弘彦
解題・村永大和
編集人・秋山素子
若き日の秋山實君
若い頃の秋山實君は天真爛漫で、発想が奔放で楽しい人であった。ほとんど酒の呑めなかった彼が、編集者となっていつの間にか酒が強くなり、中上健次さんを案内して伊豆の家へ来てくれた時は、その変りように驚かされたが、それもまた楽しかった。持参した焼酎二升は宵のうちに呑んでしまって、下戸の私がしまっておいたウイスキーやブランデーを次々と空にしながら翌日の昼近くまで、中上氏と語りかつ昼近くまで、中上氏と語りつつ激論するそばで、編集者としての節度を失わない秋山君を見て、彼の成長と変化に眼を見はる思いであった。(序・岡野弘彦)