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序句・題簽 / 後藤比奈夫
この先ここに美しい四季の訪れを待ち、更に四季を追いつづけ自然に随順し、変らず自分自身の俳句を詠み続けられることを願うばかりです。 (あとがきより)
●比奈夫選 麻子十句
初夢でお逢ひしましたとも言へず
寒紅に一家支へし頃のこと
夫婦またこはれやすかりさくら貝
身の上の変りつつある古雛
片陰に入りて暫く世に出でず
草いきれにも負けん気のやうなもの
風の色まとひて白し秋遍路
紅葉燃え鬼女になりたいときもある
後添として茎漬の塩加減
茫茫としてどぶろくの酔にあり