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◆第一句集
『薔薇枕』は、森敏子さんの第一句集である。私の仲間のなかでも際立つ特色をもつ俳人で、その作句の初めから知っている私にとってもあまり例のない出発であった。(略)このような作り手は自分の作品の中に溺れてしまうほど作ればいいのである。勘の良さは抜群で、作句を重ねるうちに、俳句表現の独自性を感得していった。 (伊藤通明)
◇作品紹介
汝のもとへ桜の中をぬけて来し
青ざめし花や月夜の女人講
惑ひなどなくて椿の落ちざまは
抱擁を解くや牡丹のゆるびたる
黙約のごとくに蛍手渡さる
鎌倉は男日和や梅白く
青嵐父は戦艦比叡の士
菰巻きの松や刺客のごと立てり
抱合の神にかなかなしぐれかな
光悦忌乾きのゆるき奈良の墨
[もりとしこ(1935〜)「白桃」同人]
定価 本体2571円+税=2700円
装丁・森 健
序・伊藤通明
4/6判フランス装
236頁
2008.08.01刊行