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◆ 第一句集
「幹を撫でては叩きては桜守」いよいよ咲く時が来て、木と対話しているかのような桜守。子育てさながらの思いが「撫で」る、「叩く」に出ている。「紅梅や門のうちにも門ありて」「門」の重なりが物語の始まりを予感させるのは、「紅梅」の季語の含蓄が働くから。本句集の華麗を象徴「桜」「紅葉」の二句だ。(鷹羽狩行)
◇岬雪夫抄出
片蔭に貼りつくやうに人を待つ
幹を撫でては叩きては桜守
囚はれの身のしなやかに囮鮎
躓きし筍をまづ掘り出せり
萍のたひらを風の渡りけり
沈む日をまだ引き寄せて掛大根
十二月ついでに買ひしもの重し
風のたび影失ひて冬桜
雨あとの木の実しぐれや山の宿
[いのうえあやこ(1943〜)「狩」「天衣」同人]
定価 本体2476円+税=2600円
装丁・君嶋真理子
序句・鑑賞5句・帯/鷹羽狩行
跋・帯一〇句抄出/岬 雪夫
4/6判上製カバー装
202頁
2008.08.23刊行