◆ 第三句集
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「こんなふうに咲きたいのだらうか菊よ」この句に出遭ったとき、身体が稲妻に貫かれたような気がした。原初的な万物の“生”に対する疑問、劫初からの生態系を洗い直さなければならないような、難問を突き付けられた気分を味わった。刺し違えるべく鋭利な“匕首”が横たわっているようにも見えた。(中原道夫)
◇自選十句
灯ともせばわが部屋となる夜の秋
兎抱く心にかたちあるごとく
涅槃寺靴一足の余りたる
こんなふうに咲きたいのだらうか菊よ
兵器の名いささか覚え春炬燵
先頭は秋に入りけり蟻の列
風除けに手のひら立ててお中日
かなかなや草のおほへる忘れ水
祝福のごと枝打の葉を浴びぬ
枯園に鋏大きく入れにけり
[たけいきよこ(1942〜)「銀化」同人「青垣」会員]
定価 本体2476円+税=2600円
装丁・中原道夫
序・中原道夫
跋・櫂未知子
4/6判上製カバー装
204頁
2008.07.20刊行