◆ 第三句集
[立ち読みする]
著者の小田三千代は私の実妹。昭和四十九年から私の出講していた産経学園の神戸教室に参加、俳句を作り始めた。自分では俳句を作らない母が私の俳句のことは一言も言わず、しきりに三千代は俳句が上手いと言って誉めていた。私の句に比べて妹の句は、対象がおとなしく分か、表現が分かり易く、表現が父の夜半流で素直であったからであろう。(後藤比奈夫)
◇作品紹介
灯して雛のこころに近づきぬ
羅にふと人柄の透けるとき
枯菊を焚きて忌日とふと思ふ
世に出づる心はおたまじやくしにも
寒紅の猪口に色気のやうなもの
風を着るごとく装ひ街薄暑
埋火にありし吐息といへるもの
励まされすぎても困る敬老日
桐一葉音立てて落つ立てず落つ
翔つもののあり早春の狭庭にも
装丁・君嶋真理子
序・題簽 後藤比奈夫
4/6判上製函装
154頁