◆ 第四句集
[立ち読みする]
彼の俳句が晩年に至るまで清廉の様を漂わせていたのは、アマチュア精神に徹することが出来たからだと私は思っている。開巻劈頭の、「花餅の緑といふは何の花」といった頬のゆるむような楽しい句。晩年の、「テレビいまおしやれ工房春の昼」といった軽妙な無欲な句々に到るまで、アマチュアの道を全うした彼の清らかさが出ているよう私には思われる。(後藤比奈夫)
◇作品紹介
片脚で立ちてをりたる冬の虹
一つづつ手作りかとも時計草
初絵馬のエヂソン像も男山
夜店の灯好きで大正男かな
ネクタイは妻の好みや更衣
落着かず盗人萩を挿してより
どびろくに添へて出されし大湯呑
赤いろいろデイゴの赤は燃ゆる赤
神農の虎の闊歩も道修町
神迎過ぎて枯木になり急ぐ
装丁・君嶋真理子
序・題簽 後藤比奈夫
4/6判上製函装
152頁