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◆ 第一句集
「白玉や仕事仕事と浮き上がる」
朝長さんは、柔和な優しいお人柄ながら、その芯のところは、みずからを厳しく律する剛い信念の人である。そして、それは、たとえばこの白玉の句のように、絶えず前へ前へと進むべくみずからを奮い立たせてやまないのである。そうした朝長さんのひたすら前向きに生きようとする姿勢が、このような明るく楽しい作品を次々発想させるのであろう。(波戸岡旭)
●波戸岡旭選
春落葉行く先々にある仕事
風薫るからゆきさんの発つ岬
新調のかつを縞なる青とかげ
カンナ咲く介護に齢などなかり
年重ね目から汗噴くこともあり
バスチャンは今も居るはず葛の花
百日紅いい顔ばかりしてをれず
曼珠沙華素直に伸びて恋もして
秋の蚊のこの私のどこが好き
古日記頑張る吾のをかしくて
装丁・君嶋真理子
序・波戸岡 旭
跋・藤野律子
4/6判上製函装
212頁