◆ 短歌作品集
[立ち読みする]
雲よ、風よ、友よ、タンポポよ……
自然と実生活とにまっすぐ向きあう
真摯な心が求めるポエジーの数々
◇作品紹介
厨辺に鍋みがきつつリフレインす春は晶子の雛罌粟(コクリコ) のうた
「あら、タンポポ」女学生たちの声きこえ白き綿毛を車窓に追ひぬ
絵日記の蝉は小さく描かれて大きな蟻に曳かれゆきたり
捨て難き小さな消しゴム新しい消しゴムと共に置きて物書く
「いい雨ね」やや間のありて「いい雨だ」静かに深む秋の夜なり
音のしてマロニエの実はまろびたり旅人われに拾はるるため
「ノー」と言ひたい樹木もあらむ電飾を散りばめられて街路樹は立つ
ピザ配達のバイクが路地を駆け抜ける車体の<P>の文字傾けて
装丁・君嶋真理子
栞・小田三月
4/6判ソフトカバー装
258頁