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◆ 第一句集
雪螢とはまことに
あえかなる存在である
しかし、その小さないのちには
思いがけない強さがある
ピーター・パンの冒険心と
ニンフの若々しさをあわせ持つ
作者の詩ごころが
『雪螢』一巻の随処に
ちりばめられている
(行方克巳)
「月探す表参道交差点」都会の賑やかな交差点で、信号を待ちながら、或いは歩いている途中でも、ふと月を探す。その思いは日常に詩を求める思いに似ている。雑踏の中の一人でありながら、中空の月を心に持つ時、人は句ごころを胸に抱く。
(西村和子)
◇行方克巳選
もう前も後ろもなくて芒原
元気あとは山の絵の暑中見舞
日本も寒いらしいねと初便
かはい気のなくて結構春の風邪
葉桜や眩しげに訳聞かれたる
目覚めても目覚めても夜風邪の床
踏ん張つて蜥蜴の尻尾再生中
約束を悔やむ手袋なきを悔やむ
月探す表参道交差点
式典の空も会場原爆忌
おざわまゆ(1961〜)
定価 本体2100円+税=2205円
装丁・君嶋真理子
序・西村和子
帯・行方克巳
栞・小川軽舟
4/6判並製小口折表紙
208頁