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第50回熊日文学賞受賞受賞!
◆ 第一句集
かねてから、その刊行を待ち望んでいた、岩岡中正さんの句集が、いよいよ出版されることになった。まとまった句を読み通した読後感は、一口で云えば、すがすがしさである。日頃厚誼をいただいていて感じる、真っ当にものに取り組まれる男らしさと、その裏にひそむ含羞の作者が見事に俳句に結実している。それはこの句集の前の約三十年の俳歴の中で積みあげられた俳句の技としての修練と、豊かな人生の積み重ねであろう。
(序より:深見けん二)
◆自選十句から
春の海かく碧ければ殉教す
一年が一と日のやうに過ぎて花
緑蔭に聖者のごとくをられけり
青嵐大樹はいつも仰がるる
今生を滝と生まれて落つるかな
握手するやうに泉に手をひたす
我に吹き我より吹いてゐる野分
ひそかなるものに花野と信仰と
一塊の火の山として露けしや
山枯れてみな青空にしたがへり
*
[いわおかなかまさ(1948〜)「阿蘇」主宰]
序句:稲畑汀子
序:深見けん二
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
240頁
2008.05.30刊行