◆ 第一句集
[立ち読みする]
畦塗の踏み固めをる鼠穴
作者の住まわれている土地は、筑波山の南、牛久沼の北に当たり、周りは田園風景が広がっている。その作品に風土が登場するのは当然のことであろう。作業の途中で畦に鼠穴を見つけた農夫が、足で踏みかためてふさいでいる光景が描かれている。こうした句は、実景を目にしないと詠めないものだ。(鈴木貞雄)
◇自選十句から
筑波嶺の容ち定かに恵方道
十方を一瞬暗め初日の出
平首をたたき誉めをり騎馬始
幹裂けてゐて確かなる芽吹きかな
音もなく発ちゆく渡舟行々子
最上川名もなき滝も一と眺め
新しき句碑に華やぐ稚児あやめ
巴塚より木曾殿へ雪螢
小さきは小さく鎧ひ冬芽かな
ふくしまゆりこ「若葉」同人
定価 本体2667円+税=2800円
序・鈴木貞雄 跋・谷口忠男
装丁・君嶋真理子
4/6判上製函装
228頁