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◆ 著者第一句集
敏枝さんの作品は、大きく次の三つに分類することができる。すなわち、医師としての句、働く主婦としての句、そして妻として、母としての句である。一貫して日々の起伏の中に詩情を掬みとり、そこに思いを托すといった、生活諷詠の作風である。先師岸風三樓の説く「俳句は作者の履歴書」の実践をくっきりと読みとることができる。
山崎ひさを(序文より)
保育所へ急ぐ背に秋夕焼
泣くまいと両手暖炉にかざしけり
患者らにいたはられをり春の風邪
夫の待つ赴任地近し峡若葉
春田その先に故郷の海ありぬ
笙の音の高鳴り夏の潮満ち来
動悸して春の夢より覚めにけり
序文・山崎ひさを 装丁・君嶋真理子 装画・佐藤留津
四六判上製カバー装 185頁
●著者略歴
昭和24年11月27日、山口県下関市小月町生まれ。昭和56年、「春嶺」入会。昭和60年、「青山」入会。石谷秀子先生、山崎ひさを先生に指導を受け、現在に至る。青山同人、俳人協会会員。内科医師。平成2年7月より、広島市南区比治山本町で内科医院開業