◆ 著者第一句集
<結び目のほどけしさまに春の水>
<ひとりでにめくれし頁あたたかや>
誰にでもまっすぐ通ってゆく平易な言葉で、事や物を平明に写し取り、そこに作者の情を籠めるという著者のその俳句の方法はまた、優しいまなざしで平明に観ることによって初めて見えてくるものが在るのだということをも、私たちに教えてくれているのである。
太田寛郎(跋文より)
白牡丹寺の畳に正座して
美術館の石の柱に緑さす
すぐそこに電車が来るぞ寒雀
時計屋の時のまちまち山眠る
手を出せば手を出す赤子桃の花
あたたかや洗ひこぼしの米ふくれ
跋文・太田寛郎 装丁・君嶋真理子
四六判上製カバー装 215頁
●著者略歴
昭和2年11月3日岡山県生まれ。昭和63年「狩・桜狩」支部入会。平成2年狩入会。平成7年狩会友。平成12年狩本部句会参加