◆ 著者第一句集 風土を詠う
<茎立や全島隠れ切支丹>
<耶蘇一揆亡びし丘の青き踏む>
<ペーロンに湧き立つ雨の港町>
など、殉教の地・長崎在住者ならではの、キリスト教や海を主題にした句が多いのが特色。その地に深く根ざし、旅行者では捉えることのできぬ風土を詠いあげている。『西国』は、異色出色の句集。鷹羽狩行(帯文より)
中村孝一さんは、かつて、超結社の長崎俳人会の会長の任にあり、今は朝日新聞長崎版の俳句選者をつとめられるかたわら、老人ホームなどの俳句指導に当っておられる。
その俳歴を踏まえ、この句集に長崎に関連する句が五十句以上あることは、氏の郷土愛の強さをも示している。庄中健吉(跋文より)
十字架の主に見おろされ土筆つむ
春愁やちち在りし日の海の色
湯豆腐や支那海の闇底知れず
朝採りの歯朶あをあをと年の市
西海にまだ日が残り鳥総松
二番茶も摘まれて深みゆく山河
序文/帯文・鷹羽狩行 跋文・庄中健吉
装丁・君嶋真理子 四六判上製カバー装 224頁
●著者略歴
大正12年5月15日長崎県千々石町に生まる。昭和32年長崎天狼会「烽火」入会。昭和36年「天狼」入会。昭和39年「氷海」入会。昭和46年氷海同人。昭和47年俳人協会会員。昭和53年「狩」創刊と共に同人参加。同年「狩」長崎支部長。昭和59年長崎俳人会会長。平成8年長崎俳人会会長辞任。同年「狩」長崎支部長辞任