◆ 著者第一句集〜諧謔がたっぷり湛えられた句集〜
<尾は牛の別の生きもの冬の蝿>のような独自の把握。かと思えば<炉の灰を均し二人の仲を問ふ>と、人情の機微を見事に定着させた句もある。また<花つけて捨て大根の意地とほす>といった、捨てられたものを通して、生きることの意味を問ふ句もある。
諧謔がたっぷり湛えられた句集『火口湖』。
鷹羽狩行(帯文より)
<立冬の暦に詰る離山メモ><終掘の坑帽なぶる師走風>
<山笑ふ坑夫養鶏業に就き><草虱つけて離山の荷を括る>
昭和四十五年の作品である。
青峙さんの凄いところは、このような逆境に遭遇しても、俳句を捨てなかったことである。捨てるどころか、ますます磨きがかかってきたのである。
高木公園(跋文より)
串打つて尾にのこる息下り鮎
山芋の脛のごときを掘り上げし
雨にやや窶れのめだち白牡丹
人波のいつときは退き恵方道
蓄へしものは髭のみ日向ぼこ
白藤を潜りて白髪増す思ひ
序句/帯文・鷹羽狩行 跋文・高木公園
装丁・君嶋真理子 四六判上製カバー装 208頁
●著者略歴
昭和7年現・福島県いわき市生まれ。昭和37年「氷海」に入会。昭和45年氷海同人・氷海賞受賞。昭和51年俳人協会入会。昭和53年「狩」創刊と共に同人参加