ふるさとの風景を底流に、1985年から2001年までに作った句の中から選んで編集。英訳の俳句も収録。
◆ 著者第一句集
<取りついてひとつひとつが稲雀>
豊かに稔った稲田に群がる稲雀。何かの拍子に飛び立つと、こんなにまでという数の雀。それが、稲にとりついている。「ひとつひとつが」で、その数がいかに多いかを表現しているとともに、普通の雀でない季題にある「稲雀」とはこういうものなのだと見定めている作者の心が出ている。こうした句は、やはりじっとものを観察するということが身についてこないと出来ない。
深見けんじ(序文より)
猫柳なぜか心があたたまり
木の虚にはまり込みたる蝸牛
赤き汁乾び付きたる梅筵
残りゐる指のしたたり甘茶仏
庭映す柱時計や夏座敷
底抜けのメキシコの空夏野菜
名月がぽつかり上がる星条旗
序文・深見けん 装丁・君嶋真理子
四六判上製カバー装 185頁
●著者略歴
1955年(昭和30年)6月22日長野県佐久に生まれる。本名、一雄。1989年(平成元年)「屋根」入会。「F氏の会」入会(1991年「花鳥来」に改名)。現在、俳人協会会員、「花鳥来」会員、「屋根」同人