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◆ふらんす堂文庫
代表作を網羅し自選304句を収録。
生命の激しさとその輝き、そして不透明な人間の暗部。存在の混沌(カオス)を“光と影”の両極から照射し、著者の本質を浮彫にする。
◆収録作品より
荒涼たる星を見守る息白く
三日月の光る鼻梁の凍りけり
寒月下一塊の雪病むごとし
われ病めり今宵一匹の蜘蛛も宥さず
短夜の雲の帯より驟雨かな
野分すすむその夜をひかる人の肌
寒燈のわれ縛さんとするに耐ゆ
熱の夜のさくら咲き満ち幹立てり
いなづまに瑕瑾とどめぬかひなかな
蟷螂の青き目のうちより視らる
*
[のざわせつこ(1920〜1995 )]
栞:粟津則雄
装丁:千葉皓史
A6判フランス装
80頁
1992.01.20