丹念に詠まれた日常。父、そして家族への深い目ざし。豊かな叙情性に充ちた第3句集。
◆ 『泣虫山』に次ぐ著者第三句集
丹念に詠まれた日常。
父、そして家族への深い目ざし。
豊かな叙情性(リリシズム)に充ちた第三句集。
この第三句集『卓球台』は幸運にも俳人協会新人賞を受賞した句集『泣虫山』以降の十年の歩みをまとめたものです。「朝」二十一年の軌跡と私の句歴が重なることにささやかな矜恃があります。
季節のうつろいの変貌は私に季感のずれを強要しています。今の自然を詠むには記憶を動員する必要があります。日常坐臥を詠む身辺吟でも日々の暮らしの中から珠玉を掴み出すためには徹底した自己内対話が要求されました。著(あとがきより)
子に机とられて永き日なりけり
どんぶりで水汲んで来る桜山
畳屋が畳立て掛け風の盆
父健気人参買つて葱買つて
白れんに胸襟開く思ひかな
烈風に吾も椿も素面素手
子は母の半分の影冬たんぽぽ
装丁・君嶋真理子 四六判上製カバー装
●著者略歴
昭和17年6月22日東京生。昭和55年「朝」創刊時入会。岡本眸先生の指導を受く。昭和60年第一句集『父子』上梓。昭和61年第4回「朝」賞受賞。平成3年第二句集『泣虫山』上梓。平成4年第15回俳人協会新人賞受賞。「朝」同人。俳人協会幹事。「塔の会」会員