◆ 著者第一句集
「俳句は詩である」ことを今後の句作りの指針として歩んで行きたいと、作者は語る。現代俳句においてポエジーの所在の必要性を重要視することは、意外に少ない。この世の中であるからこそ、きらきらしたポエジーを求めたいものである。常に前に前に進もうとする作者の俳句への眩しいばかりの願いは、更に研鑽への道を導くにちがいない。
上田日差子(序文より)
春の虹ひと佇つゆゑに海さびし
流寓や吹けば変らぬ草の笛
あぶれ蚊や反故にカフカの皺の貌
大文字に老のゐずまひ正しけり
ふるさとは昔のくらさ火縄振る
野にしるき雨のすぢ顕つ光悦忌
あかときの示寂のたより雁渡る
序文・上田日差子 装丁・君嶋真理子 篆刻・池田耕治(もぐら庵)
四六判上製カバー装 224頁
●著者略歴
本名、進。大阪府出身。大橋桜坡子に師事、総理府等を経て、団体役員。昭和63年上田五千石主宰「畦」入会。平成2年黒田杏子主宰「藍生」入会。平成9年上田五千石没後、上田日差子主宰「ランブル」入会。現在、「ランブル」同人、俳人協会会員