天狼親し夫星彦となりしより
平成4年から12年までの作品を、一年を一章として名付けてならべる。山好きであった夫との死別、青々とした大気の囁きなどを詠む。
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◆ 著者第一句集
<主なき樫の木の椅子小鳥来る>
<春懸巣とびてざわめく林かな>
亡夫恋の句が続き、又、折々顔を出すのも無理はない。禮子さんは人前でよよとばかり泣き崩れるような人ではなさそうだから。だからこそ俳句に少し小声で亡夫恋しのうたを託するばかり。俳句はかかる時、俳句を詠む人に同調してくれる。真心の人には、心からその哀歓に和してくれるのだと思う。山田みづえ(序文より)
天狼親し夫星彦となりしより
飯桐の赤き実仰ぐ佳き日かな
小鳥くるやうに句集の届きけり
明日葉や海総立ちの波がしら
ぽつぺんを吹き本復となりにけり
みちのくや海漆黒の星月夜
序文・山田みづえ 装丁・君嶋真理子
A5正寸上製カバー装 152頁
●著者略歴
昭和16年東京生れ。昭和38年日本女子大学卒業。平成4年「木語」入会。平成10年度「木語」新人賞受賞。「木語」同人・俳人協会会員