◆ 『午後の夢』に次ぐ第二句集!
<睡蓮は水の目差かも知れず>
「水の目差」という誰しも耳を疑いたくなるような斬新な言葉を使ってみせたので、下五を自らに問いかける形にして念を押したのである。水面に浮かんで咲いている睡蓮から、水の表情を感じた句。水との交情を睡蓮を媒として果している。後藤比奈夫(序文より)
山茱萸の黄に防人の歌碑ひとつ
色忘れ色思ひ出し風車
玉三郎見て来し夜の春の雪
主婦として胡瓜の花の黄を愛す
魚となる水中眼鏡かけしより
水尾光る鴨の心の弾むとき
晴るる日は幹細くなる冬木かな
序文・後藤比奈夫 装丁・君嶋真理子
四六判上製函装 198頁
●著者略歴
昭和7年4月24日東京市生れ。昭和30年3月東京学芸大学国語文学科卒業。同4月東京都内公立小学校に勤務(以後30年間在職)。昭和53年諷詠会に入り後藤比奈夫に師事。平成7年6月第一句集『午後の夢』上梓。現在、諷詠同人、俳人協会幹事