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◆ 第一句集
「碧落になかばは消えし冬の虹」はつかな色の冬虹が青空に半ば消えている姿を詠んでいるが、「碧落」という言葉を用いることで、青空の厚みが表現され、同時に、冬虹の儚さも表現された。
(鈴木貞雄)
●自選十句
吹雪きをる花のゆく手の花吹雪
影ほどは揺れのなかりし干若布
戦ぐもの一切見えず野火果てし
近づきてなほ遠き色合歓の花
碧落になかばは消えし冬の虹
見えて来て滝の高さの音となる
ヴェネツィアングラス真赤に夏隣
春深き加賀友禅の鏡掛け
花散るや僧の説きをる吉野朝
源氏未だ関屋の章や卒業す
「若葉」同人(1928〜)
定価 本体2476円+税=2600円
序・鈴木貞雄
装丁・君嶋真理子
4/6判上製カバー装
224頁