「あるき神」、「炎環」、「翔」、「夢の浮橋」の既刊4句集から計504句を収録。
◆ 現代俳句文庫 新刊！
この作者の創る世界には、どこを探しても否定がないことに気づくだろう。否定たるべき死さえも、それは美しい生のいとなみの終焉のいろどりをそえるにすぎない。そして、そこには、現状肯定というよりも、さらに積極的な森羅万象の中における生命への共感といった、哲学すら感ぜられてくるのである。
筑紫磐井（解説より）
一期は夢一会はうつつ旅はじめ
初蝶に子を攫はれし山の音
「伊那」といふ名を呼んでみる霜の朝
山國やとろとろあをき透き蚕ども
水飲んで馬頭観世音涼し
子の喋る聖書のことば霜の朝
悪しき日も子の抛つ独楽は薔薇色に
解説・塚本邦雄／筑紫磐井／有馬朗人
装丁・スタジオ・ギブ フォト・イラスト 武内理能
四六判並製 104頁
●著者略歴
1943年・静岡県生まれ。本名、石倉昌治。1969年・俳誌「寒雷」に入会、加藤楸邨に俳句を学ぶ。現在俳誌「炎環」主宰、「俳句αあるふぁ」編集長。毎日文化センター・NHK俳句教室講師。日本文芸協会・近世文学会・俳文学会・現代俳句協会会員
